よわ~い「力」だから、タンポポが硬いアスファルトをやぶることができます。もし強い力だったら、タンポポの芽は自分の力で折れてしまいます。この、「よわ~力」が持続することで「雨粒」が「石」を穿つことができます。一滴の雨粒だけだったら石を穿つことはできません。太極拳は、この「よわ~力の持続」で崩していくことを発見したのです。と、解釈されがちですが違います。
「力の持続」は力みになります。いわゆる拙力です。太極拳では、相手に力を出せないようにします。昔の達人の逸話に、手の平から鳥が飛び立てないという逸話がありますが、鳥が飛び立つには足でジャンプしないと飛びたてないそうです。達人は手の平をうまくつかって蹴る力をなくしたので飛び立てないのです。推手も推された力に抵抗すれば相手に手がかりを与えてしまいますます推されてしまいます。暖簾の様になれば、押した相手が自分の力でバランスを崩します。飛び立てない鳥と同じです。踏ん張ることができない。また、太極拳独特の緩むことで自分の「氣」が落ち相手は「氣」があげられます。つまり足が浮くのです。さらに「中心を守る」ことで自分の安定が維持されます。ちょっとでも力で抵抗すると、相手に手がかり(力を使う機会)を与えることになり、相手が強ければやられます。だから「紙風船を動かす」ぐらいの「よわ~い力」が必要なのです。
これにより、「自分が相手より力が劣っていても」「動きがトロくても」相手に勝つことができる武術を確立したのです。
さらに、「相手がこう来たら、こう返す」のような技を覚える必要もなくなりました。
太極拳がなぜ弱い力なのかがはっきりとわかります。
こんな実験をしてみました
相手にしっかりと動かないよう腕を組んでもらい、それをそ~~っと触るか触らないかぐらいでその肘を軽く押してみます。相手は「あれ?」と手掛かりがなく抵抗できないでパニック状態になります。それでも相手が力を入れて反発しようとすると手がかりがないのでバランスを崩します。その状態は小指一本でも動かすことができます。これは絶対に力を入れたらできません。最後はお互いが笑って終わります(笑)
ぜひあなたもやってみてみてください。